漁夫の利 2015 4 18
相変わらず、新聞では、
中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の記事があふれています。
これについては、私も、
「AIIB vs TPP 2015 3 28」という文章を書いています。
さて、アメリカを裏切ってAIIBに参加した韓国と、
アメリカに従った日本。
どちらが得をするのか。
結局、日本が「漁夫の利」を得ることになるでしょう。
アメリカが主導するTPPを見て、
「これは、中国包囲網だ」と感じた中国が、
逆に、AIIBで、「アメリカ包囲網」を築きました。
もしかすると、「日米包囲網」かもしれませんが・・・・・。
いずれにせよ、AIIBは、政治的なもので、
決して、金融的なものではありません。
日本が参加しないAIIBは、
金融的には、中華料理で言えば、
焼豚が入っていないチャーハンのようなものです。
あるいは、バターを使っていないフランス料理でしょう。
もちろん、AIIBは、政治的には「大成功」です。
アメリカの権威を失墜させるという目標は達成されたと思います。
ところで、リーマン・ショックの影響を受けなかった日本の銀行は、
強力な資金力で、アメリカの金融資産を買収していますが、
その投資は、成功だったのでしょうか。
私が銀行家だったら、
何が何でも、PayPalを買収したでしょう。
多くの日本人は、PayPalという金融決済システムを知らないでしょうが、
私からすれば、「これほど便利なものをなぜ使わないのか」と思います。
世界に広がるPayPal。
久しぶりに見た「金の卵」だったのに、
日本の銀行は、どうして、有り余る資金力で、PayPalを買収しなかったのか。
もちろん、銀行としては、既得権益を守りたいのでしょうが、
それでは、常に激変していく世界経済に取り残される可能性があります。
金融的に考えれば、
AIIBに参加するよりも、PayPalを買収した方が、はるかにメリットは大きいのです。
AIIB vs TPP 2015 3 28
中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に
参加を表明する国が相次いでいます。
最近、イギリスがAIIBに参加を表明したことで、
各国が雪崩を打つように参加を表明しています。
これに対して、アメリカは危機感を持っていますが、
数年前の状況とは様変わりとなっています。
確か、数年前は、アメリカ主導のTPPに対して、
中国は、相当な危機感を抱いていました。
そこで、中国は、TPPに対抗するために、
何らかの対策を立てる必要に迫られました。
ところが、今や、オセロのゲームのように、
TPPブームが終わって、AIIBブームになっています。
世の中、「流行り廃り」は仕方ないことですが、
「それにしても」と言いたくなります。
TPPが流行遅れになってしまったのは、
いや長引いているのは、
日本にも問題がありますが、
アメリカにも問題があります。
労働組合や環境保護団体など、いろいろとあります。
このような「抵抗勢力」によって、
アメリカにおいても、TPPは遅れています。
厄介なことに、オバマ政権の有力な支持基盤が、
労働組合や環境保護団体なので、政治的に「複雑」です。
日本で言えば、オバマ政権は、「社会党政権」に分類されるでしょう。
AIIBの狙いは、日本を取り込むことです。
日本が参加しないAIIBは、
中国風に言えば、肉が入っていない「ギョーザ」のようなものなので、
なんとしてでも、日本を取り込みたいでしょう。
そこで、日本人は欧州ブランドに弱いので、
「イギリスがAIIBに参加」という具合に「環境作り」をしています。
中国としては、日本とイギリスを手に入れることができれば、
地政学的に「磐石の陣形」となります。
普通は、「大陸」を押さえ込むために、
日本とイギリスが「同盟」を組む必要がありますが、
今回の場合は、「大陸」が日本とイギリスを取り込む作戦です。
それを「指をくわえて眺めている」のが、オバマ政権です。
オバマ政権は、中東で失態を続けているので、
「アジア戦」に参戦する余裕はありません。
もちろん、中国にも「焦り」があります。
オバマ政権という「バーゲンセール」が続いているうちに、
「取れるものは取ってしまえ」という作戦ですので、
次の大統領選挙が気になるところです。